[童話]火とぼし山
第五章 次郎の見合い 6
次郎さんたら、一カ月ぶりに会ったというのに、見合
いの話などして、どういうつもりなのかしら。いやな
次郎さん。
でも、次郎さんがこっそり見合いをしたら、それもい
やだろうなと思いました。
私は、小さな時から、次郎さんが大好きだった。
そして、今も大好き。
でも、次郎さんは、どうだったのだろう。
私のほかにも、好きな人がいたのではないだろうか
と、きよは思いました。
一ヶ月後。
きよと次郎は、再び会いました。
「次郎さん。姪の人と見合いをしたの」
きよが、さりげなく聞きました。
つづく