火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 10


「きよが、次郎に会いにきたのだろうか」
明神さまは、そう思いました。
でも、きよではありません。
みたことのない娘でした。
明神さまは、あわてて桑のかげにかくれました。


「次郎さん、こんにちは」
「みよちゃん。どうしたの」
「私、次郎さんに会いたくて、ここへきたの。次郎さ
んに会えて、うれしいわ」
娘が、うれしそうにいいました。
「みよちゃん。よくここがわかったね」
「おじさんに教えてもらったの」
「そうか。桑畑で、みよちゃんに会えるとは思わなか
ったな」
次郎が、にこにこしながらいいました。


             つづく