火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 7


次郎の見合いの話など、きよは聞きたくありません。
でも、気になってしかたがなかったのです。
「うん。した」
「次郎さんは、その人と会わないといったのに、どう
して会ったの」
「きよちゃん、ごめん。おれ、主人にことわりきれなか
ったんだ」
次郎が、すまなそうにいいました。


「やっぱり、次郎さんはその人と会ったのね。次郎さ
んは人がいいから、ことわりきれないだろうなと思っ
ていたわ。で、どんな人だったの」
「とてもおもしろい人だった。会っている間、二人と
も笑いっぱなしだった。その人ね、大きな農家の一
人娘なんだって。おらに、養子にきてくれないかと
いうんだ」
次郎は、見合いをした娘のことを話してくれました。


             つづく