火とぼし山

[童話]火とぼし山


第四章  一ヶ月に一度の出会い 3


「きよちゃんの手は、温かいんだね。ちょっとさわっ
ていい」
「どうぞ」
きよは、手をさしだしました。
その手は、びっくりするほど熱い手でした。
「きよちゃん。熱があるんじゃない? だいじょうぶ」
次郎が心配して聞きました。


「熱なんてないわ。次郎さん、心配しないで。私の
手は、いつも熱いの。さあ、冷めないうちにお酒を
飲んで」
きよは、次郎に酒をすすめました。
「うまいっ」
次郎は、こんなおいしい酒を飲んだのは、初めて
でした。


             つづく