火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 15


きよ。次郎のことは忘れるのじゃ。
心がはなれてしまった人に、いくら心をよせてみても
どうなるものではない。
次郎のことは、忘れてしまいなさい。
そして、一日も早く、きよにふさわしいすてきな人を
みつけてほしい。
明神さまは、眠り続けるきよの顔をみながら、心の中
で話しかけました。


三日後。
きよの意識がもどりました。
「きよ。気がついたか。よかったのぅ」
明神さまが、ほっとした顔でいいました。
「きよ?」
「おまえの名前じゃ」


               つづく