火とぼし山

[童話]火とぼし山


第五章  次郎の見合い 11


「これは、一体どういうことなのじゃ。わしには、さっぱ
りわからん」
明神さまは、小声でつぶやきました。
そして、桑のかげから、二人の様子をじっとみていま
した。
次郎とみよは、楽しそうに話をしています。
笑い声も聞こえてきました。
「おもしろい娘じゃのぅ」
明神さまは、みよの話を聞き、くすっと笑ってしまいま
した。


すると、
「ねぇ、次郎さん。これからも私と会ってくれる」
「おらは、みよちゃんと会う気はない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。
「なぜ? 次郎さん」
「おらには、小さな時からつきあっている人がいる」


             つづく