火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 8


「手長、もうやめよう。こんなことをしていると、わしら
までうずにまきこまれてしまう」
「あなた。きよのために、もう少しがんばりましょう」
「じゃあ、今度はあちら側をさがそう」
「あなた。うずにまきこまれないように、気をつけてね。
それにしても、きよはどこへ行ってしまったのでしょう。
淵の奥深く沈んでしまったのかしら」
手長は、うずの中を、何度もかきまわしました。
しかし、何の手ごたえもありません。


どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。
手長の手に、何かひっかかりました。
「あなた。何かひっかかったわ」
二人は、力をあわせてひきあげました。


               つづく