火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 11


「何、火が南にともっていたと。きよ、それは、ほん
とか」
「はい。火が、いつもより南にともっていました。泳
ぐ方向を変えようと思ったとたん、うずにまきこまれ
てしまいました」
「そうか。やっぱりそうだったのか」
「やっぱりって、どういうこと」
「次郎は、わざと別の場所で火をたいたのじゃ」
「わざと?」


「そう。次郎は、いつもとちがう場所で、火をたいた
のじゃ」
「次郎さんは、なぜそんなことをしたのでしょう」
「おまえが、じゃまになったからじゃ」


               つづく