火とぼし山

[童話]火とぼし山


第六章  湖を泳ぐ娘 7


そして、「きよちゃんは、おらがともす火を目印に、こ
こへたどりついているのだな」と、次郎は思いました。
「次郎さん、魚よ」
「魚?」
「泳いでいる途中、つかまえたの。後で焼いて食べ
よう」
きよは、次郎に魚をわたしました。


「きよちゃん。早く髪をかわかさないと、かぜをひくよ」 
次郎は、自分のてぬぐいを、きよにわたしました。
きよは、そのてぬぐいで髪をふきました。
次郎のにおいが、ぷーんとしました。
きよと次郎は、いつものように、一晩中語りあかしました。
楽しいひとときでした。

 
             つづく