火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 14


きよは、意識がもどらないまま、眠り続けました。
きよ。おまえは、次郎ひとすじじゃったのぅ。
結婚する前のおなごが、たった一人の男性を、十数
年も思い続けるなんてすごい。
普通のおなごは、「あの人が好き」「この人が好き」と、
いろいろな男に心をうばわれるものじゃ。


次郎も、主人の姪に会うまでは、きよのことが大好き
だった。
でも、みよに会ってから、次郎の心はだんだんに変
わっていったのだろう。
そして、次郎は、大きな農家のむこになりたいと思う
ようになったのだろうな。


               つづく