開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  12


「どうやったら、こんなに早く、歌がよめるのだろう」
文次は、ふしぎに思いました。
文次が一句よむと、続けて女の人が一句よみました。
歌をよむたびに、女の人は酒と料理をすすめます。
何句よんだでしょうか。
二人は、数えきれないほど、たくさん歌をよみました。
文次は、すっかりよってしまいました。


   袖の上に落ちて匂へる梅の花

   梢に消ゆる夢かとぞ思ふ


「袖に落ちた梅の花は、夢の中でちぎった女性のよ
うだ」という意味の歌をよんだ文次は、眠くなってね
てしまいました。

    
              つづく