かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女


かきつばたになった少女 7


「かきつばた、きすげの花はね、私が少女
だったころ、大好きだった人から、初めて
もらった花なの。その人は、ふもとの村に
住んでいる人間の少年だった。私は、その
少年と何度も霧が峰へ行ったわ。とても楽
しかった。なくなる前に、もう一度きすげ
の花がみたいわ」


おばさまは、遠い昔をなつかしむように、
そういいました。
おばさまの話を聞いたかきつばたは、なん
とかしておばさまの最後の願いをかなえて
あげたいと思いました。
しかし、女神さまたちは、一人で遠くへで
かけることを、神様からかたく禁じられて
いました。


        つづく





「かきつばたになった少女」は、
みほようこ四冊目の童話集「ライオンめざめる」
に収録されています。


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