[童話]火とぼし山
第一章 次郎、西の村へ 4
「次郎さん。話って、何?」
「おれ、引っ越すことになった」
次郎が、早口でいいました。
「えっ?」
きよは、次のことばが出ませんでした。
「いい仕事がみつかったんだ」
「どんな仕事なの」
「大きな農家で、住みこみで働くことになった」
「で、いつ引越しをするの」
「三日後」
「三日後?」
「仕事が忙しいから、早くきてほしいというんだ」
「急な話ね。なぜもっと早くいってくれなかったの」
「ごめん。昨夜、決まったんだ」
つづく