火とぼし山

[童話]火とぼし山


第三章  湖の上を歩く娘 4


「次郎さん。はい、お酒」
「お酒?」
「寒いから、次郎さんに飲んでもらおうと思って、持
ってきたの」
きよは、小さなとっくりを、次郎にわたしました。
「うまいっ」
次郎は、うまそうに酒を飲みました。


「きよちゃん。この酒、温かい。どうしたの」
「次郎さんのことを思いながら、歩いてきたの。それ
だけよ」
きよちゃんは、おらのことをこんなにも思っていてく
れる。
次郎は、幸せでした。


             つづく