[童話]火とぼし山
第六章 湖を泳ぐ娘 5
「次郎さん、こんばんは」
「きよちゃん。今夜は、ずいぶん早かったね。どうし
たの」
「私、湖を泳いできたの」
「えっ、湖を?」
次郎は、驚いて聞きました。
みると、きよの髪から、しずくがぽたぽたとたれてい
ます。
「私、一分でも早く、次郎さんに会いたかったから、
湖を泳いできたの」
「きよちゃんが泳ぎが達者だということは、おらも知
っている。でも、夜中に湖を泳ぐなんて危険だ。深
みにはまって、おぼれたらどうするの。死んでしまう
よ。きよちゃん、むちゃなことはしないでね」
次郎が心配していいました。
つづく