火とぼし山

[童話]火とぼし山


第三章  湖の上を歩く娘 7


「氷の上を歩く娘? 明神さま。湖の氷は、まだ薄い。
氷の上を歩くなんて、危険です。こんな寒い日に、湖
に落ちれば死んでしまいますよ」
足長が、心配していいました。
「だから、娘が湖に落ちないように、二人でみはって
いてほしいのじゃ」


「明神さま。娘は、なぜ氷の上を歩くのでしょう。しかも、
夜中に」
手長が聞きました。
「大好きな青年に、会うためじゃ。湖の氷の上を歩け
ば、短時間で青年の所へ行ける。娘が毎晩会いに行
くとは思わないが、娘をみはっていてほしい。手長と
足長に頼んでおけば、安心じゃからのぅ」


             つづく