[童話]火とぼし山
第六章 湖を泳ぐ娘 4
すると・・・。
「あっ、次郎さんだ。約束通り、火をたいてくれたの
ね。ありがとう、次郎さん。今、行くからねー」
きよが、大声でさけびました。
みると、西の山に、小さな火がともっています。
「あの火が、二人の合図なのか。それにしても、小さ
な火じゃのぅ」
「きよは、あの火がともるのを、待っていたのね。あの
火は、二人をつなぐ命の火なのでしょうね」
手長がしんみりいいました。
手長と足長は、小さな火をめがけて泳いでいくきよの
姿を、いつまでもじっとみていました。
「無事に、湖をわたり終えますように」と祈りながら。
つづく