[童話]火とぼし山
第六章 湖を泳ぐ娘 2
月あかりに照らされてみえたもの、それは湖を泳いで
いる娘の姿でした。
娘は、頭に荷物をのせ泳いでいます。
「どこの娘じゃろ」
近づいてみると、きよでした。
「誰かと思ったら、きよか。湖に氷がはれば、氷の上
を歩く。水がぬるめば、湖を泳いで渡る。ほんとにむ
てっぽうな娘じゃのぅ。大の男だって、湖を泳いで渡
る人は、数えるほどしかいない。それなのに、かよわ
いおなごが、こんな夜中に、湖を泳いで渡るなんて
信じられん」
足長が、あきれたようにいいました。
つづく