火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 1


九月八日。
残暑のきびしい日でした。
今日は、次郎と会う日。
「とうちゃん、かあちゃん。これから次郎さんの所へ
行ってきます」
「きよ、気をつけて行くんだよ。次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれました。
きよは、元気よく家を出発しました。


「無事に向こう岸へ渡れますように」
そう祈りながら、きよは湖を泳ぎ始めました。
あたりがだんだん暗くなってきました。
月は、まだでていません。
きよは、暗闇の中を、向こう岸にむかって泳いでい
きました。

 
               つづく