火とぼし山

[童話]火とぼし山


第七章  新しい出発 4


この世で、次郎さんと会うことができて、私は幸せ
だった。
次郎さん、ありがとう。
とうちゃん、かあちゃん。大切に育ててくれてありが
とう。
私、二人のこどもに生まれて幸せだった。
生まれ変わることができたら、またとうちゃんとかあ
ちゃんのこどもにしてね。
きよは、うすれていく意識の中で、次郎や両親とす
ごした楽しかった日々を、なつかしく思い出してい
ました。


「手長、足長。明神じゃ。わしの声が聞こえるか」
「はい、聞こえます。何かご用でしょうか」
「きよが、湖でうずにまきこまれた」
「えっ、きよが? 場所は、どこでしょうか」


               つづく