火とぼし山

[童話]火とぼし山


第三章  湖の上を歩く娘 1


北風が吹く寒い季節になりました。
諏訪湖には、氷がはっています。
今日は、次郎と会う日。
きよは、湖の氷の上を歩いて行こうと思いました。
でも、湖の氷は薄く、氷の上にのぼると、「みしっ」
「ばりっ」と音がします。
こんな寒い日に、湖に落ちれば死んでしまいます。
きよは、氷の厚そうな所をみつけ、そろそろと歩い
ていきました。


「おや? 氷の上を、誰か歩いてくる。誰だろう」
明神さまは、あわてて岸にあがりました。
明神さまは、諏訪地方を守っている神様。
農耕の神様・狩猟の神様・風の神様ともいわれて
います。
明神さまは、下諏訪に住んでいる奥さんの所へ行
く途中でした。


             つづく