火とぼし山

[童話]火とぼし山


第三章  湖の上を歩く娘 6


「湖の氷は、まだ薄い。娘が湖に落ちたら大変だと
思って、そっと後をつけたのじゃ。娘は、青年に会
うために、山の中へ入っていった。うらやましいくら
い仲のいいカップルだったよ」
明神さまは、奥さんに娘の様子を話しました。


その夜。
明神さまは、家来の手長と足長をよびました。
「明神さま。何かご用でしょうか」
「夜遅く、もうしわけない。早速じゃが、二人に頼み
たいことがあるのじゃ」
「何でございましょう」
「実は、夜中に、湖の氷の上を歩く娘がいるのじゃ」


             つづく